QRコードを印刷するとボケる!読み取れない?! アウトライン化でミスを防止せよ
QRコードのサイズ調整は難しい
スマートフォンのアプリ紹介本・ムックなどの制作で、QRコードを扱う機会が増えています。
このQRコード、作ること自体はたいして難しくないのですが、印刷に適したサイズにするのが非常に面倒です。と言いますのも、QRコード自体を適正なサイズで用意しないと、80%ととか適当なサイズで縮小されたときにぼやけて表示されてしまうのです。
たぶん、InDesignのデフォルトの縮小設定がバイキュービック法とかになっているからだと思います。白黒2階調のQRコードをバイキュービック法で縮小すると、境目の部分を多階調に処理してしまう傾向があるようです。
ぼやけたQRコードは読み取りにくいですし、そもそも印刷しても格好悪いですよね。
そしたら、ニアレストネイバー法を使えばいいんじゃないか?という話になるんですが、実はこれも難しい。1辺を正確に2の倍数に拡大・縮小しないと、本来の形と違う形状にQRコードが変形してしまいます。
こうなると、QRコード自体がヘタしたら読み込めなくなります。僕はこれで一度大ポカをかました経験があります。
組版部隊と緊密に連携をとって、QRコードのサイズを厳密に作るなんて方法もありますが、同じ書籍内でもカセットのパターンによってQRコードのサイズが変化するなんてことになったらもうお手上げです。
QRコードをアウトライン化しよう
そこで考えたのが、QRコードのアウトライン化です。QRコードをうまいことアウトライン化できれば、画像のサイズがどうであれ、一切変換することなく正確な形状でQRコードを表示できます。
このアウトライン化の処理をしてくれるのが、「potrace」というフリーウェアです。白黒2階調のbmpデータをベクター画像に変換してくれます。ありがたいことにWindows用、Mac用、Linux用が用意されており、環境を問わず利用できます。自分はWindowsとMacで利用しています。
Peter Selinger: Potrace
Windowsの方は、上記サイトからWindows用のバイナリをダウンロードして、exeファイルにパスを通しておきましょう。
Macユーザーなら、ありがたいことにHomebrewでインストールできます。下記のコマンドでインストールをどうぞ。
$ brew install potrace
アウトライン化したいQRコードをbmp形式で用意したら、あとはpotraceで一括アウトライン化です。
まずはMac版の場合。QRコードの画像名は「01_qr.bmp」の形式とします(別になんでもいいですけど)。
for i in `find . -name "*qr.bmp"` potrace -a0 -e "$i"
はい、これだけです。「01_qr.eps」というファイル名で、アウトライン化されたQRコードが作成されます。
次、Windows版の場合です。僕はコマンドプロンプトは使えないので、PowerShellで作業をしています。
ls . -name "*qr.bmp" | % { potrace.exe -a0 -e $_.fullname }
こちらも簡単ですね。
Windows・Macどちらの場合もbmp形式のQRコードは残ったままとなっているので、不要であればまとめてどこかのフォルダに移動するなり、削除するなりしておくとよいでしょう。
あとはDTPにファイルを渡すだけです。もちろん、紙面は等倍でプリントしてちゃんとQRコードが読み込めるか確認しておきましょう。少なくとも、「QRコードが読み込めない」なんてことはなくなるかと思いますが。